僕は51歳の建築設備施工会社の営業をしている会社員だ。
僕には中学2年生の息子がいる。
最近、息子が筋トレを始めた。
僕の部屋には懸垂マシンが置いてある。
僕は建築設備の施工管理の仕事をしている関係で、工事現場の足場や既存設備にある固定はしごを登ることがある。
そのため、週に1回か2回は、懸垂を数回して鍛えている。
息子は最近、僕の部屋に来て、懸垂マシンで懸垂をするようになった。
最初は5回くらいしかできなかったが、だんだん回数ができるようになった。
今は順手で10回、逆手で10回を簡単にしていた。
彼の顔は幼い子供の顔なのに、体は随分たくましくなっていた。
気がつかないうちに身長も妻を超えていた。
まだ、僕よりは少しだけ小さいが、そのうち同じくらいの身長になるのかもしれない。
僕も自分が中学生の時に『屈強な男』になりたかった。
キックボクシングの練習に励み、腕立て伏せや、腹筋などの筋トレもしていた。
息子も筋トレに励み、高校生になったら、ウェイトトレーニングのジムに通いたいと言っている。
僕は大賛成だ。男は体を鍛えて、屈強になってほしい。
何の仕事をするにも体力は必要だ。
息子はまだ、自分の人生について悩みが多い、中学生なんだ。
僕も自分が中学生、高校生の時はどうやって生きていけば良いか分からなかった。
その時を振り返った時に、とても影響された人を思い出した。
たまたま、高校生の時にテレビのドキュメント番組で冒険家の植村直己の特集を見た。
僕は彼の一人で過酷な山を登るところや、 アマゾン川を筏(いかだ)で下ったり、犬ぞりでグリーンランドを縦断する冒険にとても驚いたし、興味を持った。
高校生の時に『屈強な男』に憧れていた僕は、キックボクシングのジムに通い、高校の部活は山岳部に入った。
山岳部に入れば、植村直己のような『屈強な男』になれる気がしたからだった。
大学の時に植村直己の「青春を山に賭けて」を読んだ。
彼の自分のやりたいことに挑戦する姿勢に共感した。
彼の本にある“男は、一度は体をはって冒険をやるべきだ。"という文章が、自分がプロキックボクサーになる時に心の励みになった。
卒業してからの就職なんかどうなってもいい、せめて一度でもいいから外国の山に登りたかった。それが自分にとってもっとも幸せな道だと思った。
(中略)
「そうだ、ヨーロッパ・アルプスに行こう。そして、日本にない氷河をこの目で見よう」 と私は決心した。資金のない私は、とうぜん現地でアルバイトをしてかせがなければならない。とはいったものの、フランス語もドイツ語も、イタリア語もできない。そんな私にヨーロッパでアルバイトの口があるだろうか。
(中略)
とにかく日本を出ることだ。英語ができない、フランス語ができないなどといっていたら、一生外国など行けないのだ。男は、一度は体をはって冒険をやるべきだ。※植村 直己. 青春を山に賭けて (pp.12-13). 文藝春秋. Kindle 版.
若い頃に僕は自分なりに、好きなことに挑戦できた。親もそれについて口を出さなかった。
だから、僕も息子にそうしたいと考えている。
親としては心配だけど、息子が選ぶ人生を応援したい。
男は、一度は体をはって冒険をやるべきだ。
まずは、体を鍛えて、『屈強な男』になってほしい。