われわれの力の及ぶものは、最も善いように処理しなければならないが、力の及ばないものは自然のままに扱うようにしなければならないということだ。
「自然のままにとはどういうことだ」
神が望むままにということだ。
※人生談義 上 エピクテトス 國方栄二 訳 岩波書店
私はエピクテトスの力の及ぶもの、力の及ばないものを分けて考えることは、正しいと思う。
しかし、問題は何が自分の力の及ぶものか、力が及ばないものかを理解することが、とても難しいことだ。
特に、若い頃はその判断は相当難しいと思う。
私は50歳になり、少しだけ理解できたことがあった。
それは、自分の特性により、できる仕事とできない仕事があるということだ。
私は建築設備の営業職を10年ほど経験した後に、建築設備の点検の会社に転職した。
同じ建築設備の業界で、営業職だが建築設備の点検も関わっていたので、問題なく仕事ができると思っていた。
しかし、人間関係でうまくいかなかった。
結果的には、自分の無力さと、自分の力ではどうにもならないことを知った。
そして、私の決断は退職だった。
ゆっくり、慎重に考察した結果、長い経験があり、自分に向いていると思える、建築設備の営業職に戻った。
エピクテトスのいう「自然のままに」とは、頑張っても、うまくいかないことはある、ということだと解釈している。
どうにもならければ、仕事を変えた方が良い。つまり、力が及ばないものは自然のままに扱うしかない。
私は営業職の時は、あまりトラブルは起きない。私にはその仕事が合っているのだと思う。
私は愚鈍なので、できないことがたくさんある。しかし、経験した結果、少しだけ自分の得意で、できることが分かってきた。
力の及ぶものを善いように処理しよう。
さあ、明日も仕事を頑張ろう。