無益な語句を千たびかたるよりも、聞いて心の静まる有益な語句を一つ聞くほうがすぐれている。
私は人生で一番心に響いた一文はアリストテレスの”二コマコス倫理学(下)”の、【親愛なひとびとなくしては生きることを選ばない】の一文だ。
20年ほど前に建築設備のメーカーに勤務し、東京から地方へ転勤になった。
友人も家族もいない地域で、仕事を必死にやっていた。
会社の先輩や同僚、協力会社の人も良い人ばかりで、仕事はとても楽しかった。
しかし、数年が経ち、恋人もいない時に、あまりに寂しくなり、何のために生きているのだろうと疑問が出てきた。
長く独身生活をしていたので、もう、一人は嫌だと思った。
何とか36歳の時に妻と出会うことができ、結婚することができた。
結婚してから、寂しく感じることはなくなった。
息子が生まれてからは、慌ただしく、あまりゆっくりする生活はできなくなった。
しかし、私は結婚が向いているのだと思った。
寂しさを感じるよりは、にぎやかな方が心が落ち着く。
今は妻と喧嘩になったり、反抗期の息子を怒ったりすることもあるが、この一文を思い出すようにする。
嫌なことがあったとしても、親愛なひとびとがいることで私は生きていけるのだ。
感謝して生活しよう。
さあ、明日も仕事がんばろう。