まもるの休日

休日に思索したことを表現したいと思いました

『読書の楽しみ方について』

 

私は中学生くらいから読書が好きだった。

50歳の今と15歳の私ではずいぶん読書の楽しみ方が変わった。

読書に興味を持ったのは、中学校3年生の15歳の時にシドニィ・シェルダンの『ゲームの達人』という本購入して、読んだことがきっかけだった。

友人にすすめられて、その本を読んでみると、冒険物の物語の面白さに興奮して読書に没頭した。

はじめて読書が面白いと思い、それ以来外国の小説を読むようになった。

中学生の頃の私は外国や冒険への憧れがあった。

当時は『日曜洋画劇場』、『ゴールデン洋画劇場』などテレビで洋画の放送していたので、好んで鑑賞していた。

マイケル・J・フォックス主演の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』やハリソン・フォードが主演した『インディ・ジョーンズ』シリーズなどの面白さは、今でも印象に残っている。

14歳から26歳までキックボクシングに打ち込んでいたので、練習で体が疲れてしまうため、普段はテレビ放映された洋画をビデオに録画して何度も鑑賞したり、読書したりと家でゆっくりできて、疲れないことが趣味になっていた。

キックボクシングと読書、洋画鑑賞が若い頃の自分の興味のほとんどを占めていた。

26歳でキックボクシングを辞めて、就職して会社員になってからも、好きなことはランニングと読書、洋画鑑賞だった。

読書も相変わらず、冒険物に興味があり映画の原作になった本に興味を持った。

マイケル・クライトンの『ジュラシック・パーク』やアーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズをよく読んでいた。

洋画や小説で外国に憧れたため、少し外国に住んでみたいと思ったりした。

そして29歳の時にオーストラリアのケアンズに半年ほど滞在することにしてみた。

ケアンズを選んだ理由は、現地の写真を見た時に、自然が多くて『ジュラシック・パーク』やその他の洋画に出てくる冒険物の舞台の風景のように思えて興味を持ったからだった。

若い頃の私の読書は外国への憧れがあったのと、物語の主人公の冒険を読むことで、心を揺さぶられて楽しんでいた。

私の場合は読書については、娯楽であり楽しさ以外のものを求めていなかった。

しかし、年をとってから、私なりの読書の楽しみ方に対して変化が起きるきっかけがあった。

それは36歳で結婚して新婚旅行に行ったことだった。

新婚旅行先は妻と話しあって、イギリスに行くことにした。

その理由は、私がどうしても『シャーロック・ホームズ』の舞台のロンドンに一度は行ってみたい思ったことだった。

妻は行ったことのない場所で、ヨーロッパにも興味があったので了承してくれた。

イギリスではベイカー街にあるシャーロック ホームズ博物館に行ったり、大英博物館に行ったりした。

映画や本の舞台でよく出てくるロンドンに行くことができてとても興奮した。

その中でも、大英博物館に展示されていた『パルテノン神殿の彫刻』をみて驚愕した。

現代に生きる私が見ても、2000年以上前に作られた彫刻があまりにも見事なものだった。

何度も年代を確認したが、そんな昔に、こんな素晴らしい彫刻を古代ギリシアの人達は作れたのかと、信じられなかった。

帰国後に古代ギリシアに興味を持ち、関連した本を読んでみようと思った。

大英博物館に展示されていた『パルテノン神殿の彫刻』を思いだしながら、何冊か読んでみた。

その中でアリストテレスの『二コマコス倫理学』を読んだ時にこんな一文に出会った。

”何びとも、実際、たとへ他のあらゆる善きものを所有するひとであっても、親愛なるひとびと(フィロイ)なくしては生きることを選ばないであろう”

※『二コマコス倫理学』(下) 岩波文庫 高田三郎

私は当時、建築設備のメーカーに勤務していて、転勤して4年ほど経っていた。地元の友人や家族、親戚と離れた地域に暮らしていたため、深い孤独を感じていた。

その時に妻と出会うことができて結婚した。近くに信頼できる人がいてくれるおかで生きていけると感じていた。

たかが転勤くらいで、泣き言を言うようでみっとないと思い、そのことを口にすることはなかった。

しかし、この一文を読んだ時に心に衝撃を受けて、涙があふれ、しばらく震えがとまらなかった。

2000年以上前の立派な学校の先生であるアリストテレスでも、私と同じことを思っているのだと、強く共感した。

つまり、人生経験を積んできた今の自分には、読書で人生の答えを探したり、教えを受けるのではなく、自分の考えていることと同じことを思っている作者に出会えて共感できることが、人生を歩むうえでの励みになると感じた。

今の私の読書の楽しみは若いころとは変わったし、良かったと思っている。

自分の人生を励ましてくれる一文に出会えるのを楽しみに読書を続けている。